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不動産の取引・仲介 に関する用語


 

フリープラン方式販売

 最初に、業者と顧客との間で、建築請負契約を停止条件とする土地売買契約を締結し、これに基づいて、後に顧客の意向にそった建築請負契約を締結する販売方式(いわゆる売り建て方式あるいは建築条件付土地売買契約)である。しかし実務上は、より広義に解釈され、いわゆる建て売り方式(業者自ら設計。施工した住宅を販売する方式。

 土地付建物売買契約)でもその物件が未完成の場合で、顧客の要望を取り入れ、設計や設備、仕様の一部を変更することに応じる契約もフリープラン方式販売に含まれるとしている。

 なお、宅建業法36条の規定により、宅建業者が売主の場合には建築確認を受けた後でなければ未完成物件の売買契約は締結できないことになっているのでこのような設計等の一部変更は当然にその建築確認の範囲内で処理できるものでなければならない。

 

青田売り

元来は「稲が十分に成熟しないうちに収穫高を見越してあらかじめ産米を売ること」の意味であるが、不動産業界においては、未完成の宅地あるいは建物の売買等をいう。

 青田売りについては、宅建業法により広告の開始時期の制限(同法33条)、工事完了時における形状・構造等の書面による説明(同法35条1項5号)、契約締結等の時期の制限(同法36条)、手付金等の保全(同法41条)の規制を受ける。

 

媒介契約

宅地または建物の売買、交換または貸借のなかだち(とりもち)を宅建業者に依頼する契約のことをいう。

 宅地または建物の売買または交換等をしようとする場合、自分の希望する条件(価格、引渡し時期等)に合った適当な相手方を、広い範囲から探し出すことは極めて困難である。そこで、これらの取引をする際に、両者の間をとりもつことを専門としている宅建業者に、取引の相手方を探すよう依頼することになる。このときの依頼契約を媒介契約という。

 宅建業者は、宅地または建物の売買または交換に関する媒介契約を締結したときは、後日、媒介契約の存否、内容、報酬等をめぐって紛争等の生ずるのを防止するため、遅滞なく、一定の契約内容を記載した書面を作成し(媒介契約の内容の書面化)、依頼者に交付することが義務付けられている(宅建業法34条の2)。

 なお、媒介契約は、 (1)依頼者が他の宅建業者に重ねて依頼することができる一般媒介契約(明示型と非明示型がある) (2)依頼者が他の宅建業者に重ねて依頼することができない専任媒介契約 (3)依頼者が依頼をした宅建業者が探索した相手方以外の者と売買または交換の契約を締結することができない専属専任媒介契約がある。

 

一般媒介契約

媒介契約の一形式で、依頼者が他の宅建業者に、重ねて媒介や代理を依頼することが許されるもの。一般媒介契約が締結されても、依頼者は他の宅建業者への依頼が制限されないので、有利な取引の機会がそれだけ広くなるが、宅建業者の側からすれば成功報酬を得られる保証がないため、積極的な媒介行為を行わない場合もある。

 また、一般媒介契約には、他に依頼した業者名を明らかにする明示型とこれを明らかにしない非明示型とがある。なお、一般媒介契約を締結するときは、建設大臣の定める標準一般媒介契約書によることが望ましいとされている。

 

専任媒介契約

依頼者が他の宅建業者に重ねて媒介や代理を依頼することを禁止するもので、媒介契約の一形式。専任媒介契約が締結されると、依頼者は他の業者への依頼が禁止されるが、宅建業者は他の業者から依頼書を横取りされることがないため、取引の相手方を積極的に見つける努力が期待でき、依頼者としても成約までの期間が短縮できるなどのメリットがある。


宅建業法では

(1)依頼者の利益が損なわれることのないよう、専任媒介契約の期間は3か月を超えることができないこと、依頼者の申し出によりこれを更新するときも更新のときから3か月を超えないこと、
(2)宅建業者は2週間に1回以上依頼者に業務の処理状況を報告すること、
(3)媒介契約締結の日から7日以内に指定流通機構に当該物件に関する情報を登録すること

などを義務づけている(同法34条の2)  

 

<専任媒介契約>

「この家を売って欲しい。ただし貴社以外には依頼しません。」

 

専属専任媒介契約

媒介契約の一類型で、専任媒介契約に自己発見取引の禁止の特約(依頼者は、媒介を依頼した宅建業者が探索した相手方以外の者と、売買または交換の契約を締結することができない旨の特約)を付した契約である。


媒介契約を締結した業者は、

(1)書面の交付義務、(2)価額等について意見を述べる際の根拠明示義務が課されているが、さらに専属専任媒介契約を締結した業者は、(3)媒介契約の有効期間を3か月以内とすること、(4)依頼者の申し出がないと期間の更新ができないこと等のほか、(5)1週間に1回以上業務の処理状況について報告すること、(6)媒介契約の締結日から5日以内に指定流通機構に当該物件に関する情報を登録することなどが義務づけられている。

 

<専属専任媒介契約>

「この家を売って欲しい。ただし貴社以外には依頼しません。私が買主を見つけた時も貴社の媒介により売却します。」

 

不動産の表示に関する公正競争規約

不当景品類および不当表示防止法10条の規定に基づき公正取引委員会の認定を受けて、不動産業界が設定した不動産の取引に関する広告その他の表示に関する自主規制基準。同法4条(不当表示の禁止)の解釈基準のひとつとして取り扱われる。

 昭和38年東京地区に設定され、現在、北海道、東北、首都圏、東海、北陸、近畿、中国、四国、および九州の9地区に設定されている。

 

手付

売買、賃貸借等の契約に際し、当事者の一方から相手方に対して交付される金銭その他の有価物をいう。

 手付には、契約の成立を証する証約手付、手付を交付した者はそれを放棄し、相手方はその倍額を償還して契約を解除することを認める解約手付、手付額を債務不履行の場合の損害賠償額の予定または違約罰とする違約手付がある。どの手付であるかは当事者の意思によって決められるが、いずれの場合にも、証約手付の意味がある。

 民法は、当事者の意思が不明のときは、解約手付と解することとしている(民法557条)。宅建業者が売主として受け取る手付は解約手付である(宅建業法39条2項)。なお、契約の際内金と表示されても解約手付と解されることがある。手付金は、契約が約定どおり履行されるときは、一部弁済として取り扱われることとなる。

 

買換え特約

住宅を買い換える場合、手持ち物件の売却前に新規物件の購入契約を締結すると、手持ち物件を売却できないと非常に困ることになる。そこで、そのような事態に備えるためには、購入契約に「○月○日までに○○万円以上で手持ち物件を売却できなかったときは、本契約を白紙解除できる」旨の特約をつける必要がある。この特約を買換え特約という。

 

買取保証

個人所有住宅の買換えや至急換金等、売主の事情によって不動産売却と資金調達が連動し、かつ時間的制約がある場合、不特定買主との合意による売買契約成立のみに期待することは売主にとって危険なので、売主の不安を除き危険負担を分散するため、一定媒介期間経過後に希望価格での成約に至らないときは、媒介業者が査定価格から公租公課と必要経費を減じた価格で買い取ることを約束することがある。これを買取保証という。

 実務上は新規物件販売のための下取り物件処理や買取り転売の手法として用いられる。この場合の査定価格は業者の転売危険負担を見込むので、通常の媒介の査定よりその分だけ下回る。

 

買戻しの特約

不動産の売買契約と同時に、一定期間経過後売主が代金と契約の費用を返還して不動産を取り戻すことができることを内容とする契約解除の特約をいう(民法579条)。特別の合意のない限り、買戻期間中の不動産の果実と代金の利息とは相殺したものとみなされる(同法579条但書)。

 買戻しの期間は10年を超えることができず、10年を超える期間を定めたときは、その期間は10年とされ、その期間の更新は認められない。

 また、期間の定めをしなかったときはその期間は5年とされる(同法580条)。買戻しの特約の登記は、買主の権利取得の登記に附記して登記することとされており(不動産登記法59条の2)、この登記をしておけば第三者にも対抗できる(民法581条)。買戻しの特約は担保の一方法であるが、この目的で利用されることは少ない。

 住宅・都市整備公団等公的事業主が分譲した住宅・宅地等においては、転売防止などを担保するために利用される。再売買の予約は登記をせず、動産もその対象とされ、また再売買代金にも制限がない点で買戻しと異なる。

 

解約

当事者の一方の意思表示により、賃貸借、雇用、委任、組合などの継続的契約関係を消滅させることをいう。

 契約の解除の場合、その効力が過去に遡るのに対して、解約は将来に向かってのみ消滅の効力が生ずるとされているが、民法上は解約と解除が混同して使用されており、明確な規定はない(民法541条、620条、625条3項等)。

 売買、贈与契約等の非継続的契約関係の解約または解除はその効力が過去に遡るのに対して、賃貸借、雇用、委任、組合などの継続的契約に関する解約または解除は将来に向かってのみ消滅の効力が生ずる。

 

解約手付

いったん締結した売買契約を、後に解除しうることとして授受される手付をいう。一般にその金額についての制限などはないが、宅建業者が宅地建物の売主の場合には、20%を超えることはできない(宅建業法39条)。

 解約手付が授受されると、買主からはそれを放棄すれば、また売主からはその倍額を返しさえすれば、契約を解除することができる(民法557条1項)。ただし、相手が契約で定められたことを始めるなど履行に着手すると、手付解除は認められない。

 解除の方法などは一般の場合と同様であるが、手付額、または倍額のほかに損害賠償を請求することはできない(同条2項)。手付には、このほか証約手付、違約手付がある。

 

解除条件

将来不確定な事実が発生することによって、契約等法律行為の効果が消滅する場合の、不確定な事実をいう(民法127条2項)。反対に、契約等の効果の発生が不確定な事実にかかっている場合を停止条件という(同法127条1項)。

 売買契約を締結し、転勤になったらこの契約を失効させるという条項を入れるような場合、解除条件付売買契約という。

 条件を付けるかどうかは当事者の自由であるが、婚姻、養子縁組、相続の承認、放棄、手形の裏書(手形法12条1項参照)などについては、不安定な法律関係を続けることは相当でないから条件は付けられない。相殺も、相手方を不安定にするから同様である(民法506条参照)。

 

瑕疵担保責任

売買の目的物に隠れた瑕疵があったとき、売主が買主に対して負う責任をいう(民法570条)。「売主の担保責任」の一形態である。

 瑕疵とは、建物にシロアリがついていたとか、土地が都市計画街路に指定されていたことなどをいう。買主は、善意無過失である限り、契約時にわからなかった瑕疵のために損害を受けたときは、売主に対して賠償請求をすることができる。また瑕疵のため契約の目的を遂げることができない場合には、契約を解除することができる(同法566条1項)。

 ただしこれらは、買主が瑕疵を知ったときから1年内にしなければならない(同法570条、566条3項)。また強制競売で物を買った(競落した)場合には、買主にこれらの権利は与えられない(同法570条但書)。

 

瑕疵担保責任についての特約の制限

宅建業者が自ら売主となる宅地、または建物の売買契約においては、瑕疵担保責任についてこれを負う期間(民法570条において準用する同法566条3項に規定する期間)をその目的物の引渡しの日から2年以上とする場合を除き、民法に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならないとされている。

 買主に不利な特約とは、瑕疵担保責任を負わないとするもの、これを負う期間を買主が知ったときより1年未満の期間とすることのほか、契約解除も損害賠償も認めず補修のみを行うとするもの、瑕疵の個所によっては責任を負わないとするもの等があげられる。

 宅建業法は、このような買主に不利な特約を制限するとともに、これに反した特約は無効としている(宅建業法40条)。

 

重要事項の説明義務

宅建業者は、宅地建物取引に際し、売買、交換もしくは貸借の相手方、もしくは代理を依頼した者、またはその媒介に係る取引の各当事者(以下「相手方等」という)に対して契約が成立するまでに、その者が取得し、または借りようとしている宅地建物に関する一定の事項、すなわち私法上、公法上の権利関係・取引条件等について書面(重要事項説明書)を交付して、宅地建物取引主任者から説明をさせなければならない(宅建業法35条)。

 なお、宅地建物取引主任者は当該書面に記名押印をするとともに、説明をするときは、相手方等に対して、宅地建物取引主任者証を提示しなければならない。

 

守秘義務

宅建業者およびその使用人、その他の従業者は、正当な理由がなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならず、宅地建物取引業を営まなくなった後、またはその使用人等でなくなった後でも同様とされている(宅建業法45条、75条の2)。

 宅建業者等は、宅地または建物といった依頼者の重要な財産について、相談を受けたり取引に関与したりして他人の秘密を知る機会が多いので、業務上知り得た他人の秘密を守ることを特に強く義務付けられている。「正当な理由」が認められる場合として、たとえば、裁判の際、または税務署の職員から法令に基づき証言を求められた場合等があげられる。

 

電車・バス等の所用時間

不動産の表示規約では、電車・バス等の所要時間の表示基準を定め(同規約12条7号)、1)乗換えを要するときはその旨、2)特急・急行等の種類、3)特急料金等の特別料金を要するときはその旨、4)ラッシュアワーと平常時の所要時間が著しく異なるときはその旨、5)運行本数が著しく少ないときはその旨を明示することを義務づけている。

 所要時間はダイヤグラムに従い表示するが、乗換え時間や待ち時間は含まれない。なお、通勤時間帯に運行されていない特急列車等による所要時間だけの表示は許されない。

 

徒歩所要時間の表示

宅建業者が一団の宅地または建物の分譲の広告をする場合に、当該団地から各施設までの距離または所要時間について表示をするときは、不動産の表示に関する公正競争規約12条(9)および(12)により、道路距離80mにつき1分を要するものとして算出し、1分未満の端数については1分に切り上げることとしている。

 坂道、歩道陸橋は考慮されず、信号の待ち時間も含まれない。団地から駅その他の施設までの徒歩所要時間を計る場合、それらの施設から最も近い団地内の地点が起点となる。

 

請負契約

請負人がある一定の仕事を完成させ、注文者がこれに報酬を支払う契約をいう(民法632条)。一般的には建物の建築とか土木工事など有形的な仕事について締結される。

 注文者は完成した目的物の引渡しを受けるのと同時に報酬を払えばよい(同法633条)。これに瑕疵があれば修補や損害賠償の請求ができる(同法634条)。また、注文者は仕事が完成するまでならいつでも請負人の損害を賠償して契約を解除することができる(同法641条)。

 なお、土木建築等の業者との請負契約については、紛争予防のため必ず法定の内容の書面(通常は契約書)を作成交付しなければならず(建設業法19条)、工事について紛争を生じたときは、建設工事紛争審査会でもその解決を図る途が開かれている(同法25条以下)。


参考文献:(五訂版)不動産取引用語辞典
 
京都・観光-旅行・ぶらり伏見
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